「斉藤殿はかなり焦っておられたご様子。
すぐにでも土方先生に読んで頂きたく、
夜がふけるのを待っておりました。」
斉藤殿から受け取った密書を土方先生にお渡しする。
「分かった。すぐ確認する。」
土方先生が密書をお読みになる間、
私は部屋の外の気配を感じ取る。
私の存在は新撰組の仲間にも知られてはいけない。
ごく一部の方々を除き、
この部屋に近づいてくる者がいようなら、
すぐにまた影となり、
闇に消えなければならない。
・・・耳を澄ますと・・
たくさんの寝息が聞こえてくる・・・
・・・・・・・・今宵も皆、
すっかり寝静まっているようだ。