ふと彼女が手を止めた。

私はドキリとした。

勝手に彼女を観察しているのがバレる。

いけないことを見ている訳じゃないのに、いけないことをしている自分が急に恥ずかしくなってきた。

彼女は、私が身構えるだけのことしかできない間にこっちを向く。

肩まで届かないふわふわの猫っ毛を軽く弾ませて、こっちを向く。

目があった。

大きくて、宝石みたいな黒い瞳。

色白の肌に浮かぶそれは、なぜかとても非現実的な感じがした。

そこに浮かぶ、ピンクの唇も。

(さわってみたい。)

素直にそう思って、私は焦った。

変態オヤジみたいな自分に気づいて、少し気まずくなる。