「ねえ、その絵もうできあがるの?」
私は茜に尋ねた。
「うん、もうすぐ。今日中には仕上げちゃうつもり。」
茜はキャンパスを見つめながらそう言った。
「じゃあ、新しい絵は何にするか決まってるの?」
ドキドキする胸を感じながら再び尋ねた。
「ううん、まだ。」
「じゃあさ、一緒に探しに行かない?」
「え?」
「次の絵のポストカードとかさ。」
茜は何日か前から、キャンパスとにらめっこすることが多かった。
キャンパスを見つめて、思い出したように筆をちょんとのせる。
もうすぐ出来上がることはわかりきっていたけど、遠回しに聞かなければ一緒にでかけようなどとは言えない。
どうやら私は意外に小心者らしい。
「うん、行こう。」
茜はあっさりと言った。
「いいの?」
思わず私は身を乗り出して返した。声が少し上ずった。
「いいのって、どうして?」
チハルが誘ってくれたのに、と茜はおかしそうに小さく笑った。
「いや、なんでもないけど。」
「いつがいい?」
「茜の都合のいい日でいいよ。私はいつでも暇だから。」
「私も暇だよ。じゃあ明日は?」
「うん、大丈夫。」
明日は土曜日。朝から遊べる。
「じゃあ、××駅に10時とかはどう?」
「うん、いいよ。」
「わかった、決まりね。」
茜は笑顔のまま、再びキャンパスに向かった。
私はまだ高鳴っている心臓を持て余していた。
まさかこんなにすんなり決まるとは思ってもいなかった。正直、狼狽えている。
でも、初めてのことだし、存分に楽しんでやる、と意気込む。
(着ていく服はあるかなあ…)
その日は時間がたつまで、ずっとその事を考えていた。
私は茜に尋ねた。
「うん、もうすぐ。今日中には仕上げちゃうつもり。」
茜はキャンパスを見つめながらそう言った。
「じゃあ、新しい絵は何にするか決まってるの?」
ドキドキする胸を感じながら再び尋ねた。
「ううん、まだ。」
「じゃあさ、一緒に探しに行かない?」
「え?」
「次の絵のポストカードとかさ。」
茜は何日か前から、キャンパスとにらめっこすることが多かった。
キャンパスを見つめて、思い出したように筆をちょんとのせる。
もうすぐ出来上がることはわかりきっていたけど、遠回しに聞かなければ一緒にでかけようなどとは言えない。
どうやら私は意外に小心者らしい。
「うん、行こう。」
茜はあっさりと言った。
「いいの?」
思わず私は身を乗り出して返した。声が少し上ずった。
「いいのって、どうして?」
チハルが誘ってくれたのに、と茜はおかしそうに小さく笑った。
「いや、なんでもないけど。」
「いつがいい?」
「茜の都合のいい日でいいよ。私はいつでも暇だから。」
「私も暇だよ。じゃあ明日は?」
「うん、大丈夫。」
明日は土曜日。朝から遊べる。
「じゃあ、××駅に10時とかはどう?」
「うん、いいよ。」
「わかった、決まりね。」
茜は笑顔のまま、再びキャンパスに向かった。
私はまだ高鳴っている心臓を持て余していた。
まさかこんなにすんなり決まるとは思ってもいなかった。正直、狼狽えている。
でも、初めてのことだし、存分に楽しんでやる、と意気込む。
(着ていく服はあるかなあ…)
その日は時間がたつまで、ずっとその事を考えていた。