「なんでって言われてもな。もしかして、迷惑？」

「ううん、違うの。迷惑なんかじゃない。むしろいつも来てくれて嬉しいの。私、友達いないから。」

（私も友達は茜だけ。）

心の中でそう思った。

けれど、私は口にするのをためらった。

私には本当に友達がいない。

少なくとも、私には茜しかいない。

でも私の場合は、作りたくてもできないわけではなく、あえて作っていないだけだ。

女子特有のグループ活動や、皆でいれば怖くない状態が嫌いなだけだ。

そういう雰囲気を全面的に出している私に近寄って来る人は一人もいない。むしろ私にはそれがありがたい。

でも、茜は違う。

茜は、友達がいっぱい欲しくても、おそらくできないのだ。

それは茜の性格から来るものじゃない。

茜が、ここで一人で絵を描いていることとか、私より一つ年上なのに学年が一緒なことに関係しているのだと思う。

私はその理由を聞けずにいた。