二月の寒空の下―

すすけた無人雑居ビルの屋上に一人の青年が立っていた。その青年の立っている足元には靴がありその上には遺書と思われる手紙がおいてあり、その表面にはただひとこと「君へ」と書かれていた。

二月らしい北風が吹くと、彼は決心したように正面を向き、コンクリートの床を蹴――