そばにいるよ、ずっと。




なんだかふわふわした気持ちのまま、私は教室へと向かった。


すると、教室には1人で座っている翼くんの姿があった。



「…お待たせっ」

「おい、つばさ!どこ行って…」



勢いよく振り返った翼くんは、私を見て言葉を失った。


え…?何、なんか…変かな?



「えっ…?あの…翼、くん?」

「……早く勉強、教えてよ。部活…行けない」


ぶっきらぼうに翼くんは、クイッと体を元に戻して教科書を眺めた。


え…あれぇ?
は、反応はナシですかぁ?

…デスヨネ、デスヨネ。
分かりましたよ、勉強しましょう…。



私は内心ガッカリして、翼くんの机に自分の机を合わせて向かい合った。


それから普通に私は翼くんにテスト範囲のところを集中して教えた。

翼くんは元は出来る人だから、理解したら早くて、教えていて楽だった。








数学で教科書の問題演習を翼くんが解いているのを見ていて、私の目はなぜかトロンとしてきた。


……ね、眠い。

なんかこの心地良い風が、私の眠気を誘う。



「…よし!つばさ、出来…」



翼くんの声が聞こえたような気がしたけど、私は突然の睡魔には勝てず、寝てしまった。




──────…



ふわふわな大きなベッドの上に寝ている私。


目を開けると、私はなぜか可愛らしいピンクのドレスを着ていた。



「な、何これ?てか、ここどこ?」

「つばさ」


するとベッド側には、サッカー部の大会ユニフォームを着た翼くんが私の顔を覗いていた。



「つ、翼くん?」

「やっと起きた…」




凄く優しい顔をしている翼くんの手は、私の頬に触れた。




「…つばさの、せいだからな」



そう言って翼くんは私の顔に近付いて…。



───静かにキスをした。









───────…



「……ん…」


目を覚ますと、そこは教室で。

目の前には…真っ赤な顔をした翼くん。



「あれ…私、寝ちゃってた…」



現実を把握した瞬間、つい今まで見ていた夢を思い出して顔がカァーと赤くなった。


な、なんていう夢を……。


……でも、なんでだろう。

唇の感触が…残ってる……。


薄くて、少しざらついた感じの唇。

夢なのに、感触まで残るなんて……。


指が唇に触れると、微かにルージュが取れているような気がした。




───もしかして…?





「翼くん…?あの…もしかして私に今…キス…した…?」







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