恐る恐る後ろを振り返ると、翼くんは少し照れくさそうに俯いていた。
「…よろしく、マネージャー…」
「あ…はい。が、頑張りましょう…」
そんなこんなで私はこの1週間、放課後の時間、翼くんに勉強を教えることになった。
お昼休み。
鞄からお弁当を出していると、何やら不敵な笑みを浮かべてやってくる女子が1名。
「ふふふっ、つばさちゃん。愛しのダーリンとついに放課後お勉強デートですかぁ?」
「ちょっ…茉希!な、何言ってんの?」
この子は、大野茉希。
中学時代からの私の親友で、2年生でやっと同じクラスになれた。
黒髪ロングでスタイルも抜群、綺麗な顔立ちをしている茉希は、チアリーディング部の次期部長。
私も実はこの高校のチア部には興味があったんだけど、体が硬いのとマネージャー業に就いてしまったことで断念した。
「ふふふっ、全くつばさちゃんは照れ屋さんなんだからぁ〜」
「…なんか茉希、口調キモいよ?」
「キモいって何よー!」と怒る茉希は、お弁当と椅子を私の席まで持ってきた。
茉希は唯一、私が翼くんを好きな事を知っている。
てか、最近バレた。
昔から茉希には嘘がつけないのと、茉希は人一倍洞察力がある。
どうやら私が翼くんを見る目が違う事に、勘付いたらしい……。
お、おそるべし親友。