いきなり表情が暗くなった翼くんは、現実を突きつけられて真顔になった。
「来週の振り返りテスト、合格点いかないと補習だ。絶対に全教科合格点の80点取れよ?分かったな!」
「は、はいっ!」
「これはサッカー部監督命令だ!」
先生に怒鳴られた翼くんは、自分のテストを見ては「はあ…」とため息を吐いていた。
「やべ、どうしよ…」
「どれどれ、私に見せてごらんよ」
後ろを振り返って、翼くんのテストを見ると、7、5、7、3点…と俳句みたいな点数だった。
俳句というより…七五三?
翼くんって…頭はそんなに良くないことは知っていたけど、まさかここまでとは。
「えーっ、今回も学年1位は紺野つばさ!紺野は律儀で、顧問である俺の教科の物理は100点を取りました」
「えー!凄いねー!」
「すげー!さすが才女!!」
教室でみんなに羨望の目を向けられるのは慣れてきたけど、後ろで凄く視線を感じる…。
「おい…つばさ。おまっ、物理…100、点?」
「つ、翼くん…なんでそんなカタコトなの」
翼くんは開いた口が塞がらない状態で、凄い顔をしてこちらを見ていた。