私は翼くんにとって、ただのマネージャー。
それに不器用な性格で世話の焼ける同じクラスの女子。
恋愛対象に見てもらえることの方が、奇跡に近い……。
「……無謀なことはしない方が、得策…だよね」
頭は悪い方じゃないから、自分が傷付かないように振る舞うのも得意。
だから…この恋は誰にも言わないで、そっと自分だけに閉じ込めておこう。
その日、私は自分が翼くんに初めての恋をしてしまったことを自覚した。
だけど、自分の恋心を封印した日でもあった。
教室で彼の後ろ姿を見てるだけで満足。
ボールを蹴って、楽しそうにサッカーをする姿を見てるだけで満足。
「つばさ」って優しい笑顔で話しかけてくれるだけで、満足だった。
けどね、やっぱり人間って欲深い生き物。
ふと気付けば、翼くんの事を考えている自分がいて。
“ いつか、翼くんの特別になりたい ”って願う自分がいるんだ。
太陽みたいな君に初めての恋をしてから迎えた、初めての夏。
この恋が動き出していることに、
今の私はまだ気付いていなかった────