トクントクンと鳴る翼くんの鼓動を感じて、私は気が付いた。
───あ、私…翼くんの事、好きだ。
そう自覚した瞬間、私の顔がカァーと赤くなる感覚を抱いた。
やばい…どうしよ。
早く離れないと、本当に茹でタコみたいな顔になっちゃう…!
「つ、翼くんっ…は、早く部活行かないと!ぶ、部長に怒られるっ!」
「えっ?あ、ああ…そうだな」
咄嗟に翼くんから離れた私は、彼に赤い顔を見られないように俯いたまま机の上を片付けた。
「私っ…これ職員室行って先生に渡してくるからっ!先、部活行っててっ」
「お、おう…分かった」
挙動不審の私に不思議そうな顔をした翼くんは、「なんだ?」って首を傾げながら教室を出た。
あ…危なかった……。
私はその場で脱力して、しゃがみ込んだ。
自分の手で顔を挟むと、やっぱり顔に熱が帯びているのが分かる。
どうしよ……翼くんの事、好きだなんて。
翼くんって優しいしカッコいいから、女子人気高いんだよね。
そんなライバル達と戦う度胸も無いし、翼くんを好きで、私より可愛い女の子なんてたくさんいるよ。