「陽子、起きなさい」



佳苗に揺すられて、陽子は目を開けた。



「遅刻するわよ」



―――昨日、いつの間にか眠ってしまったらしい。



陽子は目を擦りながら起き上がると、支度を始めた。



・・妊娠したこと、早く言わなきゃ・・



思えば思うほど、怖くて言えなくなる。



私、どうしたらいいんだろう・・



「ママ」



「なぁに?」


カーテンを開けていた佳苗が振り返る。


「・・・やっぱりいいや」


「?――変な子ねぇ」


佳苗はフフッと笑って部屋を出ていった。


「・・・言えないよ」