「最近おかしいんだよね」

陽子の言葉に、

「何が?」

と、真澄はパンにかぶりつきながら訊いた。


――今は昼休み。

二人は屋上に来ていた。


「パパとママ」

「なんで?」

「なんでって・・。なんとなくだけど」


陽子は肩をすくめた。


「ケンカでもしたんじゃない?うちのママなんて、パパとケンカしてしょっちゅう家出してるよ。――ま、すぐにパパが迎えにいくんだけど」

陽子はプッと吹き出した。

「おじさんとおばさん、仲いいもんね」

「うーん、たまに目を覆いたくなるよ」

二人は顔を見合わせて笑った。


気のせいだったのかな?


――うん。きっとそうだ。


陽子はそう思い込むことにした。

「陽子、今日学校終わったらどうするの?」

「斗真の家に行くんだ」

「ふーん。彼氏がいるやつは幸せだねー」

真澄はうらめしそうに陽子をみて、

「早くあたしも彼氏見付けるぞ!」

と、拳を突き上げたのだった。