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───トントントントン



隣で手際よく具材を切っていく瀬那のお母さんに思わず見入ってしまう私の手には、あちこちに絆創膏が貼られている。


料理は嫌いじゃないけれど「瀬那、美味しいって言ってくれるかな」とか「瀬那、今日は何時に帰ってくるかな」とか……集中力に欠けているらしい私はいつも、気づくとあちこち傷だらけ。


『佑麻ちゃん!また手から血が……』って、瀬那のお母さんは毎回優しく絆創膏を貼ってくれるけど、いい加減、しっかりしなくちゃ!と今日こそ意気込んで南家までやって来た。



そう、私は毎日、図々しくも夕方には南家へ来て瀬那のお母さんから料理を教わっている。



始めは瀬那に『料理が血まみれになるからやめてくれ』なんて、ツレない言葉で一蹴されていたけれど



最近は家に帰ってきた瀬那が、私を見て自然と『ただいま』と言ってくれるようになった。



もう、それだけでキュウゥウウゥン!と胸は疼いて、ドクドクと全身から好きが溢れ出す。


まるで同棲してる、キ・ブ・ン♡♡


なーんて、瀬那に言ったら冷たい視線を浴びること間違いなしだから絶対言わないけど、


多分、抑えきれないニヤニヤが顔面から滲み出ているであろう私の考えていることなんて、瀬那には丸っとお見通しだろうなとも思う。


でも、いいの♡♡私のこと、何でも分かっちゃう瀬那が好きなの♡♡