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「あー、美味しかった」


「今日は誰かさんの血が入ってなかったからな」


「ぐっ、明日は絶対無傷でご飯を迎えて見せるもん」



夜。
ご飯を食べ終わった私と瀬那は、瀬那の部屋でほんの少しだけふたりの時間を楽しんでいる。


……楽しんでるのは私だけって可能性もありよりのありだけど。


その証拠に瀬那はもう机に向かってしまった。もっと今日あった色んなことを瀬那と共有したい!って気持ちを必死に抑えて、


大人しく私は瀬那のベッドに腰掛けながらその後ろ姿を見つめる。


細いのに意外なほど力強く私を包み込むその腕も。


愛しすぎてつい抱きついてしまいたくなるその背中も。

たまに見せるはにかんだ笑顔も。



これから先、全部。
私だけのものであって欲しい。



そんなこと考えながら、瀬那の部屋の棚に置いてある小さな四角い箱へと手を伸ばして、


ゆっくりとその箱を開ける。


中には瀬那に貰ったあの日から、変わらずにキラキラ輝くエンゲージリングがあって、その眩しさにギュッと胸が苦しくなる。


瀬那がバイト代を貯めて買ってくれたエンゲージリング。すごくすごく可愛い。