照れ笑いを浮かべているであろう私を、やっぱり瀬那はクスクス笑うから全然 ムードなんてありゃしないけど、


ゆっくり静かに目を閉じて今度こそ!と、ドキドキしている私の心臓は正直者だ。



そんな私の心境なんてきっと全部お見通しの瀬那が静かに近づいてくる気配を感じながら、久しぶりに私に触れる瀬那の手がやけに優しくて胸が疼く。



「佑麻ちゃーん!運ぶの手伝ってちょうだい!」



───ビクッ



あと少しで触れる、


そんな時。



タイミングが良いのか悪いのか、瀬那のお母さんの声が私と瀬那を引き離した。



「……っうぅ〜!い、今行きま〜す!」


火傷の手当をすることになって、結局 ご飯作りも瀬那のお母さんに任せっきりだったし、申し訳ない気持ちは測り知れないけれど、


でもせめて、


せめて……あと3分だけ待って欲しかったなんてのはワガママですか。



分かりやすく肩を落とした私を、やっぱり瀬那は楽しそうに笑うけど、瀬那はこの状況に少しでも"あーあ"って、思ったりしないのかな。


私とキス出来なかったことは、瀬那にとっては別になんてことない事なのかな。



……なんて、最近 瀬那不足だったから余計ネガティブが始動する。ダメダメ!瀬那は忙しいんだから!仕方ない、仕方ない。