「……なんでそんなバカなの?」

「ご、ごめん。瀬那が帰ってきたことが嬉しくて」


……つい、何も見えなくなってしまった。
あぁ、これじゃ結局 いつもの私と同じだ。


『またかよ』なんて呆れながらも私に駆け寄った瀬那が、氷水で指を冷やしてくれた甲斐も虚しく、真っ赤に腫れて水膨れが出来た私の指はジンジン、ヒリヒリと痛む。



「別に、無理に料理頑張んなくてもいいって」


「む、無理してないよ!私は瀬那の慣れ親しんだ味を作れるようになりたいの」


「……今までより、これからの方がなげーんだから、俺が死ぬ頃には嫌でも佑麻の手料理が慣れ親しんだ味になってるよ」


「……っ、うん。でもその為には少しでも料理上手になって、瀬那に美味しいって思ってもらえるもの作れるようになりたい」



瀬那がずっと、死ぬまで私のご飯を食べてくれるって、そう言ってくれてるみたいで頬は自然と緩むけど、だからって、私の料理へのやる気は変わらない。



「……楽しみにしてる」


そんな私に、諦めたように瀬那が優しく笑うから、もう今なら高級フレンチだって作れそう!とか思ってる私はぶっ飛んでるのかもしれない。



「うん!!!」