それは遠い夏の…




むせかえるような暑さの中




幼い時に見に行った、舞台。




大きな大きな劇場に拍手が鳴り響く




私はその鳴りやまない拍手の中で1人



 
感動と高揚感を覚え、前のめりになった
まま拍手もせず瞳を輝かせていた。

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「榛名(ハルナ)ちゃん、舞台もう終わったわ 
 よ~、帰りましょう」




一緒に来ていた母に肩をポンとされハッ  
と我にかえる。




周りを見るともう観客は誰も居ない




「あれ…?」




「んも~この子ったら、呼び掛けても全然       
  気づかないんだから、それにしても素  
  晴らしかったわ~!ほら、帰りましょ」




母と手を繋ぎ、舞台を後にする





「ママ、また見に行きたい!!!」




「ふふふ、わかったわ榛名ちゃん」




     「「やくそく」」




私はあの日、あの舞台を見て初めて体に  
電撃が走ったような感覚を覚えた





その日から母は劇場に何度も私を連れていってくれた。




そして、いつしか女優という仕事に憧れを抱く事になる…。