だって、気づいた。


「私ね、ずっと先輩がすきでチョコ作ってた。でもね、チョコをどんなに作ってもビターチョコにしかならなくて、」


「うん」


「そこでなんでかなって思ったの」


先輩好みの甘いチョコよりも苦いビターチョコ。
考えるのは先輩じゃなくて秋のこと。


「私、私ね、秋のことが、」


その時唇に細長い綺麗な指が優しくあたった。