――キーンコーン…。
予鈴も無視して進む先は、教室とは逆。
「ちょっ……久我くんっ!?」
いったいどこに行くの?もうすぐ授業はじまるのに。
「……」
あたしの問いに答えることもなく、彼は黙ってどこかへ向かう。
涙が止まらないあたしは、引っ張られるままついて行くだけ。
やがて階段をのぼりきり……突き当たった重い扉を開けると、眩しい光が飛び込んできた。
さぁぁと吹く風が、髪とスカートを揺らす。
窮屈だった心の中が、一気に解き放たれた気がした。
「……」
着いたのは屋上だった。
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