大丈夫だけど……大丈夫じゃないのは今この瞬間。
体がカチコチに固まってる。
緊張、半端ない。
彼女がいるとわかって目の前にする蒼くんは、まるで知らない人のようで。
もう絶対に手の届かない人なんだって。
“妹”以上にはなれないんだって……。
「ならよかった。どうしてるかなって、心配だったから」
そんな風に思ってくれるのは、すごくすごくうれしいのに。
でもそれは全部、あたしがお兄ちゃんの妹だからで……。
……っ。
鼻の奥がツン、と痛くなってくる。
気を緩めると涙があふれてきそうで、唇をかみしめた。
「どうかした?」
……言ってしまいたかった。
"聞きたいことがあるの"
"蒼くん、好きな人いるの?"
"彼女……いるの……?"
蒼くんからはっきり聞いたら、諦められるのかな。
でもやっぱり……蒼くんの口からは聞きたくない。