「あ……」
蒼くんの目があたしを見たように思えて、口がそう開いたかと思ったら、くるりと方向転換したのだ。
……え。
そして、その足はこっちへ向かってくる。
うそっ。なんでっ……。
バクバクと音をたてて鳴り始める心臓。
でも、もしかしたらあたしの後ろに知り合いでもいたのかも……なんていうのはただの現実逃避で。
思ったとおり、あたしの前で足を止めた。
「美紗が学食に来るなんて珍しいな」
いつもと変わらない笑顔。
「う、うん」
目が見れなくて、無意識にそらしてしまう。
「最近会わなかったな」
それは、あたしが避けてたから……。
「あれから体調大丈夫?」
「……うん」