やっぱり今日もここに居たんだ。
ちょっと気にはしていたんだけど、気づかなかった。
今までなら偶然会えることに幸せを感じていたのに、今日はすごく胸が苦しい。
彼女がいるという事実が、あたしの心に黒い影を落とす。
諦めなきゃいけないのはわかってるけど、やっぱり胸がこがれてしまう。
忘れたいけど……すぐには無理みたい。
あれだけ、好きだった人だから。
久我くんたちはもう学食を出てしまって、姿が見えない。
でもあたしは動けなかった。
会いたくないと思うのに、ぼんやりとその姿を追ってしまう。
お願いだから、すこしだけこうやって見つめさせてください。
気づかれないように、そっと……。
そう思ったのが悪かったのかもしれない。
どうしてか、ふと、蒼くんが振り返った。