咲 「朝からテストとかきいてねぇーっ…」

入学式が終えると新入生はそれぞれ教室に戻り、テストを受ける。

テストの結果でクラスの委員長を決めるのだ。

朝からぐったりしている咲をポンポンと励ましているのは咲の初めての友達、山瀬 桃である。

桃 「お疲れ、咲。オレも散々だったよ」

咲 「あーーあれぜってー習ってねーやつ」

桃 「何言ってんの全部習ったわ」

咲 「嘘っ!?」

桃 「嘘じゃねーよ」

咲の反応に苦笑する桃。

チャイムが鳴り、皆が席についた。

いよいよ自己紹介タイム。

出席番号一番から席を立ち、名前と趣味を言っていく。

咲 「えとー、月下 咲です!趣味は女漁り?みんなよろしくぅっ☆」

桃 「うわー引くわー」

咲 「うっせーよ桃。冗談に決まってんだろ!」

桃のツッコミにみんながクスッと笑った。

ただ一人を除いて。

桃 「あー山瀬 桃でーす。趣味は読書かな。よろしくです」

パラパラと拍手が起こる。

他に何人かが自己紹介をしていったが、咲は興味も無かった。

先生 「はい次ー」

都 「はい」

透き通った声だったのでチラリと横を見た。

咲は目を疑った。あの少女がいる。しかも、隣の席。

咲 (え…ええええ!?ー?)

都 「月詠 都。趣味は…歌うこと」

都は咲に目もくれず、席についた。

咲はただただ呆然としていた。



ーー自己紹介が終わり、休み時間。

帰る用意をしている時だった。

女子 「ねーねー!メルアド交換しなーい?」

女子 「あ、あたしも交換したいなー!」

咲の周りにたちまち女子の群れが出来ていた。

咲 (うっ…香水の匂い無理…)

咲 「あっああ、いいよ…」

無理にでも口角を上げて返答したときだった。

都の声が脳内に響いてきた。

゙本当のあなたはどこにいるの?゙

咲 (くそっ…なんなんだよ)

咲は女子達にもみくちゃにされた。

咲 「わっぷっ…」

桃に助けを求めようとした、その時だった。


「帰れないのでどいてくださる?」


凛とした声が響いた。

咲 (あ…確か委員長の…)

桜田 桜美。スラリとした容姿に長い黒髪、猫のようなつり目に泣きボクロ。

学年トップで委員長の座についた美少女である。

女子 「もっ申し訳ありません、桜美様!」
「すぐにどきますので…っ」

なぜか男女ともに桜田を崇拝する奴が多いらしい。

咲 (女神だ天女だだと?ったく馬鹿馬鹿しい。天女に見えるのは一人だけ…)

え?

咲は思考が停止した。

(えっ、ちょっと待て、今のはどうゆうことだ?)

頭の中にはてなマークが大量発生。

こりゃいけない、切り替えろ。

咲は都の方をちらっと見た。

しかしそこに都の姿は無かった。

咲 (…とりまカラオケ行くか)

咲は女子の群れを率いてカラオケに向かった。