咲 「あの…」

??? 「なんで道化師ぶってるの?」

咲は歌うことをやめた少女の言葉にビクッと反応した。

咲 「…えーどうゆうこと?」

咲は笑って誤魔化した、つもりだった。

??? 「本当のあなたはどこにいるの?」

しかし、少女にはお見通しだった。

片方の眼は前髪で隠されていてわからない。

けどもう一方の眼は、確かに咲の心を見抜いていた。

ふと、咲は目を見張った。

春風に吹かれ、少女の片方の眼が現れる。

その眼は…紅だった。

少女は咲の前を横切って去ろうとした。

その細くて白い腕を咲は咄嗟に掴んでいた。

??? 「…離してください」

咲 「あのっ俺、ここの高校一年の月下 咲」

??? 「…私、人の名前覚えるの苦手なの」

少女は手を振り払って行こうとした。

咲 「せめて、せめて名前を教えて!」

咲は少女に向かって叫んだ。

少女は振り返る。ザァ…と桜が舞う中、少女は言った。

??? 「月詠 都、あなたと同じ一年よ」


これが、私達・俺達の゙出会い゙だった。