満月の夜

家族が寝静まったことを確認した私は
お気に入りの高価そうな着物をお手伝いさんに着付けてもらった。
「お嬢様…本当に家出するのですか…?」
震える声で私に問いかける。
私は頷き
「御父様と御母様に何か聞かれても知らないって言えば大丈夫だから。私の事は心配しないで。」
着付けが終わり髪も結って終わった私は
「さてと、それじゃあ、行ってくるね。今までありがとう」
お手伝いさんに御礼を言うと
自分の部屋の襖を音を立てないように
そっーと明け、必要最低限な物を入れた風呂敷を持ち門まで一目散に走った。