「俺ね…美沙樹が好きなんだよね」


(はっ?)


それは、あまりにも率直だった。


私は驚いて思わず目を張った。


(好き? …好、き? …す…き?)


「あのさ…もう少し反応してくれない? あと、変な方向に行こうとしてるよね?」


変な方向も何もどう反応を示すのが正解なのか分からないのだけど。


「えっ…えーと…おお…あ」


「…壊れかけの何かみたいな反応しないでよ。予想はしてたけど、斜め上行く反応しないで」


「意味がわかんない!」


「ああ、そう…」


私の斜め上行く反応に、葉月くんは少しだけ呆れている感じもした。


「まあ、いいけどさ」


(いいんだ…)


「なんで?」


「なんでって…好きじゃなかったらしないよ」


好きじゃなかったらって、じゃあ以前の時も?


「それは、前の時も?」


「ああ、あれは単なる脅し」


「……そう」


いつから好きだったんだろう?


そもそもどこを好きになったのだろうか。


私を好きになる要素なんてどこにもないはずだ。


そもそも男の子苦手だし、弱虫だし、泣き虫だし、意気地なしだし、怖がりだし、世間知らずだし、お母さんから鳥籠のように育てられた存在なのに。


一体どこが……。


「ありえない」


「いや、真実です」


私は基本的に男の子から好かれる自信が全くない。


だって気弱すぎて苛つかせる存在でしかないのに。


「ありえない」


そういった思考がある為にどこまでもネガティブ思考になるのだった。


「だから、事実だってば」