放課後、篠原くんに案内してもらい葉月くんの家へと向った。



ここが葉月くんの家なんだ。



(大きいマンション)



「しかし、いつ来ても立派なマンションね」



「確かにな、前の所も結構立派なマンションに住んでたしな」



(葉月くんの家って裕福な家庭なのかな)



「羨ましい家庭ねー。
お小遣いどのくらいもらってるのかしら?」



「ゲスいな」



「……」



峰流さんの放った言葉にとりあえずはスルーしてマンションの中に入った。



オートロック式みたいなので、とりあえずインターンホーンを押して開けてもらい、そのままエレベーターで葉月くんの部屋の階を上がる。



「よお、お見舞い来てやったよ?」



「何でそんな上から目線なの?」



「相変わらず立派なマンションね。
意外と上の方なのね」



「ああ、うちは4階以上しか住まないようにしてるから」



「ふーん、何で?」



「そりゃあ、うちの父親が虫嫌いだからだよ」



「どこまで弱いのお前の父親は」



「そんなにディスんないであげてよ。普段は頼りないけど仕事はできる人だから。まあ、今の仕事以外は何も出来ない人だけど。家事は一切ダメダメだけど」



「お前が一番酷えな」



「ん? 入れば?」



まだ私の存在に気付いていないみたいだ。



というのも、姿を現していないで隠れている形を取っているからだ。



姿を現したらどんな表情をするのだろうか。



驚くのだろうか、それとも別の表現をするのだろうか。



どっちだろう?



峰流さんが玄関に足を踏み込み、続けるように私は姿を見せる。



私の姿に案の定という予想内の反応を示す。



「美沙樹? なんで?」



「ああ、言っておくけど。
家行くって言ったの美沙樹からだからな」



「えっ」



篠原くんは勘違いする前に理由を言った。



「えっと、手大丈夫?」



「あ、えっと……結構まだ痛むけど」



「そっか」



よほど痛みが良くならなかったから休んだんだろう。