「七菜」
彼の声には、特徴がない。
高いのか低いのか
大きいのか小さいのか
通るのか通らないのか
と聞かれても、
首をかしげることしかできないような。

でも、わたしは、彼の声が好きだった。

それだけは、覚えている。