「とぼけないで! うちのホスト引き抜いたり、閉店の事バラしたり! 酷い事ばっかりしてるじゃない!」

「酷い事? 勝つ為に当たり前の事をしているだけだ。それに、閉店の事を隠してたのはお前たちの都合だろ。俺はそんなの知らねーよ。何の咎(とが)を受ける理由も無い」

「そ、それはそうだけど……でも、そんなに勝つ事が重要なの?! そんなにうちを潰したいの?!」


 私の言葉にヒロは、本当に可笑しそうにお腹を抱えて笑い始めた。別に私は面白い事なんて言った覚えは無い。何がそんなに可笑しいのか分からなかった。

 ひとしきり笑うと、ヒロは馬鹿にしたように言った。


「――――そんなに勝ちたい、か? 当たり前だろ。勝ってお前たちをぶっ潰したくてたまらない」

「ど、どうして……!」


 うちとジャスティスはしのぎを削るライバル店同士だ。だけど、どうしてここまで悪意を向けられるのか理由が分からない。

 ヒロが、どうしてこんなに勝ちたいのか……

 彼は私のすぐ目の前まで歩み寄ると、私の顎を乱暴に掴んでグイと持ち上げる。ヒロの顔が真正面になり、彼の強い瞳と目が合った。


「分からないか? なら教えてやる。俺は、ナンバーワンになりてーんだよ」

「ナンバーワンって……今でもジャスティスでNO.1ホストなんでしょ?」