「閉店って、どういう事ッスか?」


 初が純粋な疑問を口にすると、ヒロはまた可笑しそうに笑った。


「あれ? 知らないのか? もしかして俺、口が滑っちまったか。閉店ってのは――――」

「――――止めろ!」


 青葉が焦ってヒロを遮ったが、無駄だった。辺りは一層ざわついてしまった。ヒロはそれに面白そうに高笑いしてから、ひらひらと手を振りながら店を出て行ってしまった。

 たまらなくなって私は、ヒロを追いかけた。


 どうして彼はこんな酷い事ばかりするんだろう。

 どうして……!


「ヒロ!!」


 やっと彼の背中を見つけ、大声で呼び止めたのはもう駅前だった。雑踏の中ヒロは私の声に気が付くと、足を止めゆっくりと振り返る。

 駅前はお昼を過ぎた時間で、人が溢れていた。その人混みをかき分けてやっとヒロの前に立つ。彼はハアハアと息を切らしている私を見て、面倒くさそうな顔をした。


「何の用だ」

「これ以上、邪魔をしないで!!」


 大声で叫んだから、周りの人が何事かと見てきたけどそんなの気にならなかった。ただ、ヒロの態度が悔しくて。


「邪魔? 何の事だ」


 ヒロは面白そうに笑いながら、ワザとそんなとぼけた事を言う。それに益々腹が立つ。