「と、藤真君。」

「…。」

「あ、ごめんなさいね。すぐに開けるわ。
はい、どうぞ。いらっしゃい。」


藤真君のお母さんが玄関ドアを開けながら迎え入れてくれた。


「すみません、突然、こんな時間に。」

「いーのよ。さ、入って。」


優しく笑う藤真君のお母さんの顔は、やっぱり藤真君の笑顔とよく似ていた。
 


ーーー
ーー




「で?夢ちゃんは、藤真の彼女なの?」

「!あ、…えと、」

「…うるさいな。」

「あら、うるさくはないでしょ?
気になるものよ、親として。」

「…。」

「…チッ。」


藤真君のお母さんは、見た目も若くて綺麗な人。

優しい話し方は、人柄が出てるよう。

お家の中も、綺麗に整頓されていて、温かみある感じがする。


「困ったわ。じゃあ、お布団どこにしこうかしら?」

「あ、すみません。」

「…。」

「ううん、夢ちゃん、いいのよ。

ただね、ただの“お友達”の女の子と、藤真の部屋に寝かせていいものかと思ってねー。
だったら、和室に寝てもらおうかな、なんてね。」

「あ、それで、充分です。」

「そぉ?いいの?」

「あ、はい。ありがとうございます。」


急にお邪魔させてもらって、

鍵をなくして帰れない事を説明して、

泊めて貰う事を承諾してくれて、

ご飯をよばれて、お布団まで用意してくれる。


なんて、有り難い。