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「あら?藤真?」

「…。」

「…あ、あの、」


目の前には、買い物袋を下げた女の人。


「藤真?お帰り。」

「…。」

「と、藤真君。」


きっとこの人は、黙りを決め込むこの藤真君のお母さん。

だって、顔そっくりだし。


「なに?」

「呼ばれてるよ?」

「…いいから。」

「いや、良くないよね?」



藤真君におぶられていたあたしは、家の近所だというところでおろしてもらった。


その後も、あたしに合わせてゆっくり歩いてくれたらしい藤真君がまた、


担いでいこうか?なんて、言うのを全力で拒否して、


家の前までやって来た。


想像していたより藤真君の家は大きく、可愛らしい洋館のようなお家で、

アーチの門扉を通れば、綺麗に整えられた庭と、玄関前に広いカフェスペースがあって、テーブルと椅子が置かれてあった。


玄関に向かう途中で先をいく藤真君の足が止まり、 

人の気配を感じてか、こちらを振り返ったお母さんに話しかけられた、ということだ。