下を向いた瞬間、


腕をぐいっとひかれて、顔を上げる。


「来る?」

「え?」

「俺んち。」

「……へ?」

「こんなとこで寝るより、マシだと思うけど。」


………え?今、なんて?


確か、俺んちに来るかって、…え?藤真君の家?!


「あ、いや、いやいや。」


言葉が出てこなくて、頭をフルフル横に振る。


そんな事!藤真君の家にお邪魔するなんて、出来ないし!


「なに?嫌なの?」

「あ、いや、嫌なわけじゃなくて、」

「こんなとこよりマシだと思うけど。」


見れば、少し不機嫌そうな顔。


「あ、うん。それは、絶対そうだろうね。
でも、そんな…、いきなりお邪魔なんて出来ないし、」

「いーよ、部屋は空いてるし。」

「あ、うん。でも、」

「…なに?そんなにここがいいわけ?」

「え?いや、そんな事ない、あたしも布団で寝る方がいいし。」


そう、家に帰って今すぐ寝たいくらいだもん。