さっき、紗也さんに聞いた話を思い返す。


紗也さんは大樹先輩が好きだった。
 
でも、大樹先輩には気にしてる女の子、つまりあたしがいた。


藤真君はそれに気付いていた。


紗也さんが好きな人が大樹先輩ってことも。

大樹先輩の気にしてる子があたしだってことも。

だから、藤真君はあたしに声をかけた。

紗也さんの為に。



大樹先輩からあたしを遠ざければ、紗也さんは大樹先輩を誘いやすくなる。

彼が律儀にバイト先に迎えに来てくれるのは、大樹先輩との接点を無くすため、か。

4人で遊ぶのも、あたしを彼女だと紹介したのも、

全て、紗也さんの為。