「…あの、藤真君は?」

「ん?ああ。なんか、用事があるらしくて。
…あ!誤解させちゃった?ごめん!」

「え?」

「あたしと藤真。今日、約束してたんじゃないからね。」

「あ、…そうなんですか。」

「そう。
あたしが今日急にここのケーキ食べに来たくなって、で、家出たところで藤真に会って、たまたま行き先が一緒だったってだけ。」

「あ、えと、はい。」

「ほんとに。藤真とはなんでもないし。
弟みたいな感じ。何度も噂されたことあるけど、それはない。
それに、あたし好きな人いるし。」


…あまりに、はっきり藤真君に気持ちがないと言った紗也さんに、藤真君の気持ちを考えると胸が痛くなった。