「夢ちゃん、待ち合わせじゃないなら、一緒にお茶しない?」

「あ、えと、…。」


チラッと藤真君を見る。


「…さむ。」


お邪魔しちゃ悪いしね。


それにやっぱり2人を見ていたくはない。


「あ、あたしは、」
「もー、藤真はさっきから寒い、しか言わないし!
いいよ、藤真は用事あんでしょ。ね、夢ちゃん、ケーキ食べに行かない?」

「え、」

「ほら、行こっ!ここ寒いから。
ほら、ダッシュッ。」


あたしの腕を掴んで走り出した紗也さん。


あ、ヤバい。


「あの、紗也さんっ、」

「あそこ寒かったでしょ?夢ちゃん服冷たいよ。早く中に入ろ!」

「あ、紗也さん、止まって、止まって下さっ、」


言いかけて、


「紗也っ!」


あたしの後ろから藤真君が叫ぶ声がして、


「キャッ!」


目の前で、紗也さんが藤真君に抱きしめられてる姿を見た。


「あっぶねーなぁ、ちゃんと前見てたのかよ。」

「ご、ごめん。ありがと。」