甘いものに目がないらしい紗也さんは、いつも美味しいスイーツを教えてくれる。


紗也さん程ではないけれど、あたしも甘いものは好きな方だ。


藤真君と並んで歩いて行く紗也さんは振り返って、手を振ってくれた。


それに振り返しながら、可愛い人だな、と思った。


紗也さんが振り返るのを見て、同じようにあたしを振り返った藤真君。


ほんとは藤真君も手をあげるくらいしてくれないかな、なんて思っていたけど、


チラッとあたしを見ただけで、すぐに料理を取りに行ってしまった。



…あーあ。


いや、あたしが2人で、っていったんだけどね。


だって、大樹先輩も紗也さんもいなくて、藤真君と2人でいてもきっと藤真君は面白くないと思う。


紗也さんみたいに明るくないし、


大樹先輩みたいに色んな話が出来て盛り上げられるわけじゃない。


2人で帰る帰り道がいい例だ。


最初の頃よりは返事をしてくれるようになった藤真君だけど、


紗也さんといる時みたいな自然な会話なんかじゃない。


あたしがわざと藤真君が返事してくれるような、

“はい”か“いいえ”、もしくは“①か②”で答えれるような、


そんな質問をしてるからだ。


『ん。』とか、


『いや。』だとか、


そんな小さな返事でもしてもらいたいと思ってる、


必死なあたし。