「……あ、じゃあ、今日はありがとう。」


水族館を出て、大樹先輩と紗也さんと地元に戻り、駅で別れた。


2人と別れた後は、


藤真君は、いつものようにあたしに背中しか見せてくれなかった。



「……ん。」

「…今日、楽しかった。ありがとう。」

「……それ、さっきも聞いた。」

「あ、そっか。
……えと、じゃあ、また。」

「ん。」


あたしに背中を向けて帰って行く藤真君を見えなくなるまで見ていた。




「あーあ。」


痛む気持ちを声に出した。


紗也さんは、藤真君の幼なじみで、


藤真君の好きな人。


ますます分からない、彼の意図。


紗也さんに紹介してくれたのは、紗也さんを諦めるため?


なら別に、あたしじゃなくて、もっと、それこそ怜奈ちゃんみたいに綺麗な女の子に頼めば良かったのに。


分からない藤真君の気持ちと、


分かってしまった、この恋の結末。