「ここ?ここは、」


ガチャ。


「え?!」


ベッドのヘッドレストに背中を預けて話していたあたしからは、音のするドアの方を見れば、誰が入って来たのかすぐに分かった。


「…と、うまくん、」


「…もう、入って大丈夫ですか?」

「ええ。大丈夫よ。」


そう言ってお母さんがベッドから立ち上がる。


「あ、ちょっと、お母さん、」


何で藤真君を知ってるの?


聞こうとする前に、


「夢が倒れた後、病院に運べばまたあの人に連絡がいくかもしれないって、こちらの、田村さんのお宅でお世話になってたのよ。」

「え?」


じゃあ、ここは、藤真君の家?


「お医者さんも呼んでもらって、丁度、さっき話したみたいに大樹くんに連絡がとれた時、こちらにいる事を知って、お母さんもお邪魔させてもらって、すっかりお世話になってしまってるの。」


ほんとにありがとう。と、藤真君に頭を下げるお母さんと、

全然構わないです。と、笑う藤真君。