あたしの話もした。


あの父親との生活。と、言ってもほとんど一人暮らしのようなものだったこと。

たまに酔って、手を上げられたこと。

逃げた先の居場所を、大樹先輩が貸してくれたこと。


言いたくはなかったけれど、

教えてほしいとお母さんに言われて話した。


前みたいにはもう走れないこと。



ボロボロと、泣いて謝るお母さんが、これ以上悲しまないように、済んだことだと、笑ってみせた。


もういい。

お母さんが帰って来てくれたから、

走れないけど、歩けるから。

大丈夫なんだ。