お母さんはマレーシアにいる両親と連絡がとれて、一時帰国した両親にすべてを話したらしい。

疎遠になり、顔を会わせない時間の中で、

政略結婚なんてさせたことを後悔していると、

頭を下げられたらしく、離婚届けにもすんなりサインをもらって和解したそうだ。


「あなたにも会いたがっていたわ。顔を見せたのは産まれてから数回しかないもの。
マレーシアに遊びにおいでって、言ってたわよ。」

「お母さん、」

「ん?」

「…離婚、するの?」

「…そうね、…離婚するわ。」

「…いいの?」


思わず聞いた。なぜかは、わからないけれど。


「いいの。
…別れてから気づくこともあるかもしれないし。」

「…、あの人が?」

「お互いにね。」


まだ若干16歳のあたしにはわからない、お母さんの気持ち。


でも、今まであの父親に何も言わなかったお母さんのこの決意は、あの父親にもなにかしらの影響があるのかもしれないと、そう思えた。