政略結婚なんてさせられたことで元々あまり仲の良くなかったお母さんと実家は、疎遠に近い状態だった。


あの人が欲しかったのは、お母さんの父親、つまりあたしのお祖父さんの人脈で、

それを得たあの人には、ずっとお母さんやあたしの存在はもう必要なかった。


なのに離婚しないのは、行く先々で一人身をよしとしない古い人間がいたからだそうだ。


つまりは、やっぱり世間体ということ、か。


お母さんは、すべてを実家で話して、離婚の署名を貰うくらい簡単なことだと思っていた。

なんなら、その日中で帰って来れると思っていた、と。




だけど違った。


なぜなら、


もう何年も前に、実家は人の手に渡っていたからだ。