「…ん?夢?」

「あ、えと…、スマホ、忘れてきちゃったみたいで。」

「あ、そっか。
なら、俺が紗也ちゃんに連絡して藤真君に伝えてもらおうか。」

「あ、…うん。」



大樹先輩が紗也さんにメッセージを入れるのをボーッと見ていた。


藤真君に、わざわざ元気だなんて、伝える必要ないような気がしたし。

だって、あたしなら困ると思う。

休んでいるかも知らないような相手に、いきなり元気だと伝えられても。



でももし、ほんの少しでも気にしてくれていたなら、
連絡くらい入れるべきなんだろうし。


どちらにしても、スマホがないあたしには連絡しようもなく、

こうして大樹先輩から連絡してもらったほうが間接的でいいと、そんなふうに逃げ道を作っていた。

傷付かないための逃げ道を。


この時の判断を、あたしは間違ってしまったんだろう。