藤真君と話したのは、もう2日前。

話したと言っても、あたしが一方的に話してただけだけど。

ここんとこ、バイトがなかったから会えもしなかった。


彼に付き合って、と言われた日から、もう2週間とちょっと。


あたし達はカレカノらしい事をしたことがない。


電話も、LINEもしない。


放課後待ち合わせて帰る事もない。


学校で休み時間に会いに来てくれる、なんて事もない。


もちろん、デートもない。



部活が忙しいんだろうか、


バイトしてるんだろうか、


休みは何してるんだろうか、


疑問ばかりが頭に浮かぶ。


からかわれただけなんだろうか…、


そう思っていたあたしに、付き合って3日くらいして届いた藤真君からの初めてのLINE。


【バイトの日、教えて。】


わけもわからず、取りあえず今月わかってる分だけ送る。


既読がついたけど、そこから寝るまでずっとスマホを気にしていたけど、それ以上藤真君の返事はなかった。


なかったけれど、


次のバイトの上がり時間に、藤真君がガードレールに座って待ってるのを見つけて驚いた。


「え!」

「…。」

「え、た、田村君?え、なんで?」

「……帰るよ。」


帰る?どこへ?


え?もう帰っちゃうのになにしに来たの?


そう思いながら、歩き出した藤真君の後を追う。


「え?へ?…、え、も、もしかして送って、くれるの?」

「…。」


返事はなかったけど、


あたしの前を歩く藤真君はあたしの住むマンションに向かっていた。