お母さんが出ていったのも、フラッと帰ってきた父親が、また怒鳴り散らして暴れたからだと思う。


あたしは部活帰りに、家の方向から慌てて逃げてくるお母さんの姿を見つけて、慌てて追いかけた。


追いかけて、でも、間に合わなくて、焦って、


歩道橋から転げ落ちた。



その後、病院に運ばれて、手術して、


いつの間にか、引っ越しが終わっていて、


父親によって転校させられていて、


あたしは、この街のこのマンションに住むようなった。


お母さんは、あたしを置いて出ていった、とだけ聞かされた。



たまに酔った父親が、家に立ち寄らない限りは、一人でも平気だった。


早く大人になって、いつかお母さんを探して会いたいと思っていた。

例えほんとにあたしを置いて出ていったのだとしても、

お母さんを恨む事はなかった。

ただ会いたい、それだけだった。


酔った父親が、あたしをどんなに痛め付けようと、


あたしは耐えて、


早く、ここから出ていくんだと決めていた。