「夢。」

「ん?」

「しゃべってないで、早く食べたら。
今日学校だし。」

「あ、うん。そだね。」


藤真君にそう言われて、壁の時計を確認して、慌てて食べる。


「…なぁ、母さん。」

「なに?桜汰。」

「今のって、…ヤキモチ?」

「ふふっ、そうね。」

「…ふーん。」


藤真君に迷惑かけないようにと、食事に集中したあたしには、藤真君のお母さんと桜汰君の会話を気に止める余裕もなかった。

朝食は、ひとつひとつが美味しくて、

急いて食べるのがもったいないくらいだった。




ーーー
ーー


「行ってきます。」

「あの、お世話になりました。おじゃましました。
ありがとうございます。」


「ふふっ、いいのよ、夢ちゃん。
またいつでも遊びに来てね。」

また、来たいです、とは言えずに笑って答える。