「夢ちゃんって左利きなんだねー。」

「あ、うん。
…不細工でしょ。」


桜汰君があたしに言った。



父親は、あたしの左利きを嫌う。

お母さんは、「直さなくてもいい。」と言ってくれていたけど、


『なんて不細工な。』


そう、父親が言ったのを覚えてる。



「…なんで?」

「え、」

「なんで不細工?いいじゃん。個性じゃん。」


思わず、桜汰君を凝視する。


「…ん?」

「あ、…ううん。…ありがとう。」


言われた言葉が嬉しくて、桜汰君に小さく告げた。