「…おはよう。」

「…はよ。」

「弟、さん?」

「ん。」

「…そっか。うらやましいな、あたしは一人っ子だから、」

「今の、」

「ん?」

「今の、…桜汰が言ったやつ、」

「…?」

「気にしなくていいから。」


…桜汰君が言った、って…、


『こんな可愛い人忘れないはずだけどなぁー。』


ああ!あの言葉。



「あ、うん。勘違い、してないよ。」

「…ん。」



玲奈ちゃんや紗也さんを見た後で、

そんな自信持てるわけないよ。

 
「着替え、下にあるんじゃない?」

「あ、そうだ。お母さんに聞いてみるね。
ありがとう。」


慌ててお布団をたたんで、


「おじゃま、しました。」


そう言って、藤真君の部屋を後にした。


結局、昨日なぜ藤真君があたしを抱き締めていたのか、

一緒に眠っていたのか、

あたしは聞くことが出来なかった。