「ん？…、ああ、サンキュ。」

「…ん。」


藤真君にそう言われたからか、桜汰君は部屋を出て行こうとする。


「…ん？てか、あんた見たことある。」

「え？」


ドアの手前で振り向いた桜汰君が言った。


「…どこでだー？」

「え？」

「こんな可愛い人、見たら忘れないはずだけどなぁー。」
「桜汰。」

「…あ、…わり。」


じっとあたしを見つめる桜汰君を制してくれた藤真君。


今度こそ出ていった桜汰君がいなくなった部屋は、少し気まずい。


だって、

一緒に寝てたわけだし。