藤真君の右側には男の子、左側はもちろんあたしで、


「………ああ。」


目覚めてすぐ説明を求められた藤真君は、


「桜汰、夢。 夢、桜汰。」


あたしたちを交互に指差しながら、そう紹介した。


「…どうも。」

「あ、おじゃま、してます。」


桜汰君は、確か昨日藤真君のお母さんが言っていた。

彼の弟さんだ。


「え、…彼女?」

「え、えと、…。」

「兄貴って、美人系が好みかと思ってた。
まさかこんな可愛い感じとはねー。」


…やっぱり、いつだって答えに困る。


「桜汰、ワックス使っていーよ。」


そうゆう時は、いつも藤真君が話を反らす。


…藤真君も、答えづらいのかな。